鉄欠乏性貧血を治す上での注意点
鉄欠乏の有無を見る一つの基準として、健康診断でも測る項目はヘモグロビンです。
検査会社によって定めている基準は異なりますが、栄養療法学的基準は女性の場合Hb 13g/dl以上、男性の場合は14g/dl以上です。
その他にも、血清鉄やフェリチンの値、タンパク質は十分か、炎症はないかなど総合的に判断していきます。
鉄欠乏性貧血の治療をするときは、
・鉄が足りない原因は何か
・感染や炎症はないか
・代謝はうまく回っているのか
・どの程度鉄が足りていないのか
・タンパク質不足はないか
・食事内容
などを複合的に考える必要があります。
ただ単に鉄剤やヘム鉄サプリを飲めばいいわけではないんですね。
鉄は私たちの体内で、ヘモグロビン、血清鉄、フェリチン(貯蔵鉄)の形で存在しています。
鉄は単体ではフリーラジカルを発生させるので非常に有害です。
そのため、体内では遊離鉄はすぐにたんぱく質と結合するような仕組みになっています。
鉄は摂りすぎると鉄過剰のリスクも出てきます。
また、鉄はカンジダなどの悪玉菌の餌となり、強力なバイオフィルムを形成します。
盲目的に鉄剤やヘム鉄サプリで鉄を補うのは注意も必要です。
鉄欠乏性貧血がある場合、非ヘム鉄の吸収率が上がります。
非ヘム鉄の多い食材には、小松菜などの緑黄色野菜、海藻、豆類、しじみなどがあります。
これらの食材をたくさん食べることでも鉄は補われていきます。
鉄欠乏性貧血の背景には炎症があることも多いので、レバーよりも抗炎症作用のある野菜の方が適しているかもしれません。
鉄欠乏性貧血の背景としてタンパク質の消化吸収能力が低下している場合もあるので、赤身肉を無理に食べると未消化となり、かえって腸の負担になることもあります。
今すぐに鉄を補った方がいいのか、炎症の除去や腸内環境を整えてからの方がいいのかなど何を優先するのかはその人の状態によって違います。
※緊急性を要する貧血や血液疾患によるものの場合はこの限りではありません。
栄養療法外来へのお問い合わせはお電話にて承っております。
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