ストレスで病気になる理由~HPA軸の仕組みとその異常~

過度のストレスがからだによくないことは、
体感として知っている人がほとんどだと思います。

今回は、なぜストレスがからだに悪く、
いろいろな病気の引き金になるのかを
HPA軸に焦点をあててみていきます。

今回はかなりマニアックな話になります。

わたしたちのからだは、
HPA軸(視床下部ー下垂体ー副腎軸)という、
私たちのからだがストレスに対処するためのシステム
をもっています。

この軸が正常に働かなくなるHPA軸異常は、
現代社会における慢性疲労やメンタル不調の大きな原因の一つと考えられています。

1.HPA軸の仕組み(正常反応)

ストレスを感じると、
脳から副腎に向けて以下の反応が起こります。

1. H(視床下部):ストレスを感知し、指令ホルモン(CRH)を出す
   ↓
2. P(下垂体):指令を受け、副腎を刺激するホルモン(ACTH)を出す
   ↓
3.  A(副腎):最終的にコルチゾ―ル(ストレスホルモン)を分泌する。過剰に分泌されると脳に「もう十分だ」とブレーキをかける(ネガティブフィードバック)。

<コルチゾ―ルの役割>
・血糖値を上昇させ、エネルギーを供給する
・抗炎症作用
・抗ストレス作用
・免疫抑制作用
・タンパク異化(分解)
・日内変動によるリズムづくり

2.ストレスによる異常のプロセス

ストレスが一時的であれば問題ありませんが、
慢性的になるとHPA軸のバランスが崩れます。

第一段階:過覚醒(高コルチゾール)

常にコルチゾールにさらされると、
HPA軸がフル稼働し続け、
コルチゾールが出過ぎた状態になります。

起こりうること:イライラ、不眠、高血圧、免疫力の低下

コルチゾールは脳の記憶を司る海馬にダメージを与え、萎縮させることがわかっています。
認知症のリスクの増加や学習能力の低下につながります。

第二段階:機能低下(低コルチゾール、いわゆる副腎疲労)

長期間のHPA軸の酷使により、
脳のブレーキ機能が壊れたり、
副腎が反応しなくなったりします。
これを、「ダウンレギュレーション」と呼びます。

起こりうること:朝起きられない、激しい疲労感、うつ状態、アレルギー症状の悪化

血液検査では異常が出にくいものの、
体感としては、「動けない」ほどの倦怠感が生じます。

3.HPA軸異常が引き起こす主な症状

HPA軸の異常が、全身に多用な影響を及ぼします。

精神面:意欲の低下、不安感、集中力の欠如、気分の浮き沈み

身体面:慢性的な疲労、低血糖、筋肉痛、甘いものや塩辛いものへの渇望

睡眠:寝つきが悪い、夜中に目が覚める、夜型、寝ても疲れが取れない

免疫:風邪を引きやすい、アトピーやアレルギーや鼻炎などの悪化、炎症が治りにくい

上記のような症状が複数当てはまる場合、
HPA軸異常が起こっている可能性があります。

4.改善へのてがかり

概日リズムの調整:朝に太陽の光を浴び、夜はブルーライトを避けることでコルチゾールの日内変動を整えます。まずは早く寝る工夫と習慣作りをしましょう。

血糖値の安定:血糖値の急激な乱高下はHPA軸に強い不可をかけます。食事の見直し、補食の利用、自律神経の安定(交感神経優位で血糖値上昇するため)、筋力UP(貯蔵糖を増やす)は必須です。

マインドフルネス:瞑想や深い呼吸は、脳の視床下部の興奮を直接鎮める効果があります。

ストレスからの回避:直接的な原因を軽減することも非常に重要です。寒さや飢えなどの生命の危機にかかわる共通のストレス源もありますが、過剰な運動や慢性炎症もストレスになります。人によってストレスと感じるものや度合いは違います。

腸内環境や栄養状態の改善:貧血やタンパク質不足、栄養不足は、HPA軸異常に拍車をかけます。分子レベルでの栄養状態の改善は必須です。

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